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終了報告

 投稿者:藤森治子  投稿日:2018年10月28日(日)02時53分46秒 120-51-91-4.nagano.fdn.vectant.ne.jp
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10月 9日(火)0時、ハンスト終了しています。
10月10日(水)正午、ハンスト・イン終了しています。
10月16日(火)0時、ハンスト終了しています。
10月23日(火)0時、ハンスト終了しています。

また終了報告を溜めてしまいました。今日は頑張って書きます。

先月「君たちはどう生きるか」(岩波文庫)についてちょっと書きましたが、読了しました。これが2度目、正確には2度目半だったのですが、後半はまるで新しい作品を読んでいるようでした。読後の感慨に満たされて、心豊かな日々を過ごしました。

いろいろ調べてみると、「君たちはどう生きるか」は今ミリオンセラーで、出版界の話題の書のようです。昨年マガジンハウスが、これを漫画化して出版してから、一気に広まり、現在マガジンハウスの漫画版200万部、その小説版50万部という盛況です。また、本家の岩波文庫版は、1982年に文庫化して以来重版で、マガジンハウスの漫画と並行して144万部売れているそうです。二重に買っている人があるかもしれませんが、出版社を超えて、延べ約400万人の人が読んでいることになります。これはやはり、驚くべき出版現象と言えると思います。

更に、この作品は、新しい作品ではなく、戦争前夜の1937年、約80年前に書かれ出版された古典だという点も注目すべきところです。80年前の戦争前夜に、治安維持法で1年半も投獄されていた吉野源三郎が、反戦のこころを秘めて少年たちに語った作品です。「君たちはどう生きるか」のブームを作ったのは、何といっても、「漫画化」ということでしょう。これで一気に若い層の読者を獲得したといっていいでしょう。親や先生が子どもに買ってやったということもあるようですし、漫画を見て、或いはブームの気配で懐かしく思って再読した人もいるかもしれません。

それに、岩波文庫版の最後には、丸山真男が、ー吉野さんの霊にささげるーという副題で、極めて珍しい個人的な回想を書いているように、今でも例えば昨年末、池上彰がNHKの「100分de名著」で取り上げ、宮崎駿は、「君たちはどう生きるか」というアニメを作る予定とのこと。80年の間には、多くの人々を魅せてきた作品であったといえます。

このように、漫画化や著名人の推薦など好条件で、「小難しい」と思われる哲学的作品がミリオンセラーになっているわけですが、そのような出版を誘い、ミリオンセラーを呼び起こす時代的背景を見逃すことはできないと思います。この数年、民主主義を土足で踏み荒らし、戦後私たちが築いてきた制度や文化や憲法を蹴散らして狼藉をはたらく安倍政権に、大人も子どもも、心ある人々はみんな怒りをもって対処してきました。そして、そこに、この前の戦争前夜に似た雰囲気を感じ取っていたはずです。

また、市井の普通の人々も、森友・加計事件であからさまになったように、総理をはじめ権力の座にいる政治家が、政治を私物化し、官僚も国民の官僚ではなく、権力を忖度する奴隷化してしまい、器用に世渡り上手く、強いものには弱く、弱い者には強い人間が「得」をする風潮をを苦々しく思ってきた、真面目で、実直で、時には不器用な、普通の人間、時には権力の犠牲にさえならなければならない普通の人間の苦々しい気持ちが世にあふれてきた結果、ふとある日立ち寄った本屋で「君たちはどう生きるか」を手に取ってみることになった・・・、子どもたちにはこんな社会で生きさせたくない・・・、そういう気持ちが日本中のあちこちで起こり、400万人の人々が「君たちはどう生きるか」を読むことになった・・・。このブームの背景にはそういう政治状況、その政治状況が生み出すすさんだ人間からの回復の希求があったと思います。

さて、それほどのブームを起こす「漫画」を、私も読んでみました。ほぼ原作に忠実ですが、やはり叔父さんのノートは漫画にはできないので文章のまま載っていました。ただ、最後から2つ目の「水仙の芽とガンダーラの仏像」が何故か完全にカットされていて、それがとても残念でした。この章を読んで私は本当にびっくりしました。再読にもかかわらず、最初の時には気づかず、心にも引っかからなかったことが書いてありました。それは、「ガンダーラの仏像を作った人々は、相当長い間東洋の空気を吸い、仏教の気分に浸っていたギリシャ人であった」というところです。私はもうじき80年近く生きることになるのですが、仏像を最初に創ったのはギリシャ人だったとは知りませんでした。それは、仏像の頭髪にその名残が残っているというのです。インド人、または、仏教徒なら頭は剃髪しているし、お釈迦さまも剃髪したと経文に書いてあるとのこと。あのくるくる巻いた仏像に髪の毛。あれがギリシャ文化の名残だったとは!

これまで、まったく意識もせず、疑問にも思わず、無関心に仏像を見てきました。何ということだったのでしょう、この80年は。このことを知った翌日は、一日図書館でその辺を調べて、幸福な日を過ごしました。ガンダーラって、中村哲さんが灌漑用水をつくったペシャワールの近辺らしいということもおまけで知りました。

この他にも、いくつかのエピソードが出てくるのですが、改めて、当たり前のことを、当たり前と思って、深く考えなかったことを痛感しました。たとえば、ニュートンがりんごが落ちるのを見て万有引力を発見した考え方のプロセス、コペルニクスが地動説を唱えたけれど、人間の思想の生長も、すべてを自分を中心に考える天動説的地平から、損得を抜きにして、他者や宇宙や社会を、地動説的に考えることの大切さ、等々アッと思うような発見が沢山ありました。「君たち」は若くなくても、人生を生きてきたからこそ、「そうなんだ」と思うような発見がある書物でした。

 
 
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